東九州自動車道の工事について
先日、福岡県の東九州自動車道の工事で、最終的に未開通の区間があり、その場所にあるみかん農園の持ち主が立ち退きに抵抗してきたというニュースがありました。先祖代々の土地を手放したくない気持ちからずっと反対してきたそうですが、行政代執行という強制立ち退きで、農園の敷地の中で立てこもっていた小屋から無理やり担ぎ出されている姿がテレビに何度か映し出されていました。上空からの写真でもみかん畑の両サイドまで高速道路が出来ていて、もうこの畑をつぶすしかないところまで追いつめられている絵でした。
このニュースを見てわたしは、イギリスで昔、リーズという町までお花屋さんの資材を買いに行くために走った高速M62号線のことを思い出しました。この高速道路の建設でも最後まで立ち退かなかった「Stott Hall Farm」という名の農場がありました。この18世紀から続く古い農場で、持ち主が明け渡すのを拒んだそうです。
そこで最終的にどうなったかというと、日本のように無理やり追い出すのではなく、この農場を避けるように高速道路の上りと下りが二股に分かれて、そして農場を過ぎたところでまた合流するという形になりました。当然、高速道路の下には農場から外に行き来できるようにトンネルが掘られています。
そうなると、周りはひっきりなしに車が走っていきますが、農場の方は全然気にしないという感じでどっしりと構えています。今ではイギリスで唯一の高速道路の真ん中にある農場として有名になっています。
日本でもこのような柔軟な対応をしても良かったのではないかと思います。行政代執行という言葉は最近よく聞くようになりました。ついこの前では梅田の地下の飲食店が執行前に自主的に退去してました。これは梅田の地下で月15,000円の家賃でずっと入っていたということですから常識的に考えても止む無しと思いますが、今回の件のように、親から受け継いだ土地を無理やり取り上げるというのはちょっとかわいそうな気もします。出来上がった高速道路を見てこの方はどう思われるのでしょうか。