私の車について
私の愛車 ボルボのアマゾン を紹介をします。
私の車は今年で41歳です。スウェーデンのボルボ社の122Sという車で通称「アマゾン」と言います。
この車が欲しくて探していた時期がありました。1958年デビューの車なので出てくる中古車はどれも痛みが激しく、変な改造がされていたり、錆がたくさん浮いていたりと、満足できるものは全然ありませんでした。
それでもイギリスのカントリーサイドを車で走っているときに、牧場の緑の道をなめらかに滑って行ったアマゾンの姿が忘れられず、ずっと憧れていました。
そしてやっと出会えたのがこのアマゾンなのです。群馬県の方がずっと大切に乗っていたもので、当時の正規ディーラーであった「北欧自動車」の輸入車です。納屋のような大きな駐車場に置かれていたようで、変な改造もされてなく、ほぼ当時のままの状態でした。おそらくそれは奇跡のようなものです。その奇跡の車に出会えたことにその持ち主の方にただただ感謝の気持ちです。そういえば昔の人は車を大切にしたものだと思いだされます。このアマゾンもそのなかでも特に車を愛していたその稀有な人に守られてここまで残ったんですね。
購入してすぐにクラッチが抜けてしまったり、ラジエーターの予備タンクのキャップが吹き飛んで、その部品の取り寄せに1か月かかったり、窓が落ちたまま上がらなくなったり、確かに手間のかかるオールドカーですが、家の近所に、これまた奇跡的に古いボルボをはじめとしたオールドカー専門に修理する方がおられて何度も助けてもらいました。
イギリス映画の「フォーウェディング」でヒューグラントが友達の結婚式の日に朝寝坊をしてあわてて車のエンジンをかけても動かなかった車が色も同じこのアマゾンです。韓国映画の「デイジー」でチョンジヒョンがオランダのカントリーサイドでヒッチハイクして止まってくれた車もアマゾンです。
今でもヨーロッパやアメリカではたくさんのアマゾンが老体に鞭打って走っているのですが日本ではほとんど見かけることはありません。
最近、エコロジーのために車を乗り換えましょうと宣伝するメーカーがあります。ですが環境のためなら古い車を大切に乗り続けることのほうが有効だと私は思います。日本のメーカーは部品をすぐに作らなくなるので日本の車を長く維持するのは大変だと言われています。ですがこのスウェーデンの車はほとんどの部品を取り寄せることができます。車を数年で乗り換えないといけない理由は本当はありません。ものを大切にする気持ちは古くからの日本人の美徳です。また古いものほど価値があるという考え方はイギリスのアンティークや日本の骨董など共通する認識です。
昔、初めて乗った車、日産のパルサーを手放すときは本当にさびしく思いました。廃車にされるだろうその車のエンブレムやフロントグリルをはずして大切に家に保管しています。このアマゾンも前のオーナーが大切にしていたからこそ今もこうして現役で走ることができます。
このアマゾンに乗っていることでひとつ大きな収穫があります。それは多くの方から声をかけられるということです。もちろん見ず知らずの人たちです。年配の方がほとんどですが自分たちの若いころを思い出して、遠くを見つめるような目でいろんな話をしてくれます。母を迎えに駅前に車を止めていた時には「シルバー人材センター」の名札をつけた年配の方8人に囲まれみんなで車の思い出話しが始まりました。それだけこの古い車が懐かしく珍しいのだと思いました。車を止めていると携帯やデジカメで写真を撮っていってくれる、これまた年配の方もときおり見かけます。そこでまた思い出話しに花が咲くこともあります。
最近は調子よく走ってくれます。助手席側の合鍵がなかったのですが、これも古い合鍵を作れるおじさんを見つけてやっと手に入れることができました。徳島への遠距離ドライブも無事終えました。雨の日は運転席側の窓から雨水が漏れてきますがこれも苦にならなくなりました。
ある人にこの車はどんなことがあっても手放したらダメだと言われましたけど、ずっと持ち続けられるかは私にもわかりません。でももし手放すことがあっても、この車を大切に思って乗り続けてくれる人がいたらそれでオッケーだと思います。古いものには必ずそれを使っていた人の気持ちが表れると思います。この奇跡的に残されてきた車を大切に使うこと、そしていつまでもその思いを引き継いでいければいいなと思います。これからもたくさんの見知らぬ人との出会いを私にくれることを期待しています。